季節のおすすめ

ハンガリーワインの豆知識

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【ブドウ品種】ケークニエルー

~ 絶滅の危機からよみがえったハンガリー土着品種 ~

ケークニエルーは、マジャール語で“青い茎”という意味です。実際に葉柄が青みがかっているところからこの名前になったそうです。ケークニエルーは、バラトン湖北側湖畔に広がる小さなワイン産地バダチョニで愛されたブドウ品種でした。
バダチョニの土壌は火山性土壌で、独特の黒っぽい岩滓(火山噴出物の一種で、塊状で多孔質のもののうち暗色のもの)が特徴です。

 

 

■ ”紳士のブドウ”

ケークニエルーは地元の農家の人々には「紳士のブドウ」と呼ばれています。
通常ブドウには雌花と雄花があり、花が開いた瞬間に花粉を飛ばして自家受粉します。
ミツバチなどに花粉を運んでもらう他家受粉ではありません。
しかし、このブドウには雌花しかないため、受粉にブダイ・ズールド(Budai zöld)やロザクー(Rozsakö) のような他のブドウを介する必要があります。昔はブダイ・ズールドが受粉に使われていましたが、今はロザクーが一般的に使われています。
田舎の農家にこんなに手がかかって収穫の少ないブドウの栽培をして生活を支えることができないということで、この気まぐれなブドウ品種を栽培できるのは、余裕のある紳士だけだろうと考えたようです。

 

 

■ ケークニエルーの歴史
ケークニエルーのワインは宮廷で消費され、第二次世界大戦中はブダペストの高級レストラン“グンデル”で提供されていました。
また、1939年ニューヨーク万国博覧会にも出展されました。戦後の計画経済では、この当てにならないケークニエルーの栽培は推奨されず、次第に収穫量の多いブドウに追いやられ、絶滅の危機に瀕しました。

ケークニエルーは何世紀にも渡りカルパチア盆地で栽培されていました。
その収穫量の少なさと実止まりの悪さから、イタリアのフリウリ・ベネチア・ジュリアーノのピコリットと関係があると考えられていましたが、2006年には別物とされました。
ケークニエルーは謎の多いブドウ品種で、その起源をあまり知られてはいません。

最近になってようやく、特徴のあるワイン、土着品種のワインが注目されるようになったため、興味を持たれるようになり、栽培面積は46ヘクタールにまで増えました。
エチェク・ブダ、ザラ、クンシャーグでも一部栽培されていますが、バダチョニの火山性土壌がケークニエルーに合っているようです。
2003年以降バダチョニ地方では毎年6月第一週にケークニエルーを祝っています。

 

 

■ ケークニエルーのワインとは?
ケークニエルーの栽培は限られていますが、一度ケークニエルーのワインを飲むと、なぜ人気があり高価なワインなのか理解できると思います。
ショムロー地方のユファルクやトカイ地方のフルミントは、両方とも火山性土壌由来のしまった、しっかりした酸味のある中世的なワインですが、ケークニエルーも高い酸度を持ち、土壌を反映しています。
若いときはシンプルで淡い色、控えめな桃、シトラス、ミネラル、花の香りは飲みやすく、熟成が進むと本領を発揮します。
数年瓶内熟成をさせるとスモーキーでナッツや蜂蜜の豊潤さが現れます。
バダチョニのケークニエルーはその酸の強さ、ミネラル感、アルコール感から男性的と表現され、長期熟成に向いています。

まだケークニエルーのワインははっきりしたスタイルを築いてはいませんが、ステンレスタンクあるいはオーク樽で熟成させます。高い酸はレイト・ハーヴェストやアイスワインを造るのに最適です。今後、ケークニエルーを使った甘口ワインができるかもしれません。

 

 

ケークニエルーワインの楽しみ方

ハンガリーではバラトン湖でとれる魚料理に合わせます。日本であれば魚介、天麩羅(塩で)、サラダ、フレッシュなヤギのチーズなどと合います。古いビンテージが手に入れば熟成させた羊やヤギのチーズと合わせるとよいでしょう。
また香りが逃げないようにワインを注ぐボウル部分が大きいグラスをご使用になり、10℃~12℃でお召し上がりになるとよいでしょう。

 

 

 ~取り扱いワイン~

ボルベーイ・ケークニエルー・セレクション

 

【原産地呼称】PDOバダチョニ
【ぶどう品種】ケークニエルー100%
【味わい】ピーチ、レモン、梨、リンゴ、火打ち石、蜂蜜のアロマ。
残糖度が感じられず酸味が強いため最初は硬さを感じますが、温度の上昇に伴い蜂蜜の香りが強くなり、まろかに感じるようになります。
フィニッシュに蜂蜜、グレープフルーツの皮の苦味や塩味を感じる個性的な白ワインです。
【価格】¥4,180(税込)

 

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2021年05月27日